そもそもメダカ愛好家にメダカの品種改良はできるのか

そもそも、養魚場や小規模でメダカを楽しんでいる方に、メダカの品種改良は可能なのでしょうか。私の経験則から解説しますね。
結論:メダカ愛好家でもメダカの品種改良・新品種作成は可能です!
結論からいうと、普通のメダカ愛好家でもメダカの品種改良・新品種作成は可能です!現に私は小さい庭でメダカの品種改良・新品種作成に取り組んでいます。

自分好みのメダカを作るために、辞めた品種も多々あるので、気軽に楽しめるとはいえません。ですが、理想のメダカに近づいていくは楽しいですよ。多少の知識があれば簡単に新品種に取り込めるのでぜひ、チャレンジしてくださいね。
ただし、根気と時間・多数の容器・知識などが必要。
メダカの品種改良のやり方自体は簡単です。しかし、根気と時間・多数の容器・知識などが必要になります。新品種は簡単にできるものではなく、少なくとも1年以上必要になります。そのため「ぱぱっと新品種作って儲けるぞ!」という方は向いていません。また、容器の数も増え知識も必要になるので、それなりにメダカや遺伝子について知っていることが前提になります。特に知識については実際に累代すると「なんかおかしくないか?」と思うことも多々あります。上手にいかないことは日常茶飯事なので、根気よく続けていくことが重要ですよ。
メダカの新品種を作るにあたって覚えておくべき用語

次にメダカの新品種を作るにあたって覚えておくべき用語を解説します。用語について分からないと、メダカの品種改良は上手におこなえません。知らない用語があったらぜひ、読んでみてくださいね。
解説する用語は以下の6つです。
- 累代
- 顕性・潜性遺伝(メンデルの法則)
- F1
- F2
- 固定率
- ハウスネーム
順番に詳しく解説します。
累代
メダカを増やして次世代につなげることの総称。累代を重ねることで固定率が上昇します。そのため、メダカの新品種を作るには必ず累代をおこなう必要があります。
顕性・潜性遺伝(メンデルの法則)
表現の出やすさに関係するのがメンデルの法則です。顕性遺伝は掛け合わせの最初(F1)でも出現する表現。顕性遺伝はF2以降に出現する表現です。具体的には以下のように分けられます。
| 顕性遺伝 | 普通体系・リアルロングフィン |
| 潜性遺伝 | ヒレナガ・スワロー・風雅・光体型・ワイドフィン |
| 不明 | 眼の変化(アースアイなど17%程度でF1から出ると情報あり?)透明鱗・ロングフィン |
他にも形質は多数あると思いますが、大体上記のように分けられます。ただ、ロングフィン・ワイドフィンについては結構怪しく、自分でも試した掛け合わせですが正直自信はありません。実際に試し似てみくださいね。
メダカ界でよく言われるヘテロも遺伝子系の問題です。ただ、語ると長くなるので今回は割愛します。
F1

F1は異種交配1代目のメダカを指します。この時点ではただの『雑種』です。(そもそも改良メダカが雑種というのは無しでお願いします。)表現は親メダカの組み合わせによって地味だったり、非常に綺麗だったりとさまざまです。持っている遺伝子は両親の遺伝子をすべて引き継いでいますが、見た目はばらけることがあります。
正直、F1のメダカが1番綺麗だと思いますが、再現性がなく販売するとクレームに繋がるので避けましょう。F1で販売する場合はMIXメダカとして売るようにするのがベターです、
F2
F1同士で交配するとF2が生まれます。以降繰り返していくとF3・F4…とどんどん増えていきます。F2では分離の法則で表現にバラつきがでます。F2の親選びが最重要で、自分の理想に近い個体を選び累代する必要があります。ここで、妥協すると遠回りになるので注意してくださいね。
固定率
品種の表現がどれぐらいの個体に現れるかの確率です。一般的に固定率が3割あれば品種ができたといえます。固定率が高ければ高いほど、品種の完成度が高いといえるでの高固定率の品種を目指すようにしましょう。
ハウスネーム
ハウスネームは、新しい品種の管理ネームです。元々のはその飼育場の管理ネームでしたが現在ではハウスネーム=品種名として扱うことも多いです。ハウスネームは被ってはいけないので、命名する前に事前にGoogleで検索をかけてチャックしてくださいね。
新品種のメダカの定義

そもそも新品種のメダカの定義とは何でしょうか?私自身も疑問に思うことがあり、色々調べた結果以下の3つのうちどれかに当てはまれば、新品種といえることが分かりました。
- 新しい表現
- 新しい掛け合わせ
- 固定率の向上・表現の向上
個別に見ていきましょう。
新しい表現
新しい表現は文句なしに新品種といえるでしょう。直近ではブルーアイなど目の変化を取り入れた新品種も誕生しましたね。
新しい掛け合わせ
新しい掛け合わせも新品種といえます。メダカ業界では似たような見た目でも掛け合わせが新しい(遺伝子が違えば)新品種といわれています。
固定率の向上・表現の向上
固定率の向上・表現の向上も新品種と扱う場合もあります。この場合は、純粋な累代ではなく異種交配により品質が向上した場合にハウスネームを付けられるでしょう。地味ではありますが、昨今のメダカは固定率が怪しいことも多々あるので、個人的に好きなタイプの品種改良です。
問題もたくさんある
正直言って、メダカの新品種の定義は問題が多いです。ざっと思いつくだけでも
- ハウスネームの乱立
- ○○と○○の違いが分からない
- 固定されてるか不明な○○新系統など発生
1分程度で考えてもすぐに3つは出てきました。深堀すればさらに、問題は出てくるでしょう。
とくに『○○(メダカの品種名)と○○の違いが分からない』は致命的だとおもいます。メダカ初心者の方が見て「一緒じゃん」「違いが分からない」と言われた時、あなたはどう答えますか?「持ってる遺伝子が違います!」と答えますか?そう答えればメダカ初心者の方は白けるのではないでしょうか?
難しい問題なので、私自身答えを持っていませんがこれからのメダカブームを終わらせないためにも、重要なことなのでいつか解決することを願っています。
メダカの品種改良・新品種作成に必要な物

では、実際にメダカの品種改良・新品種作成に必要な物を揃えていきましょう。ただ、必要な物は道具ではなく、知識や経験が重要になるので事前に勉強するなどして知識を蓄える必要があります。
メダカの品種改良・新品種作成に必要な物は以下の通りです。
- メンデルの法則の知識
- 多数の容器
- 時間
- 観察眼
- 完成形のイメージ
- 妥協しない心
順に開設しますね。
メンデルの法則の知識
メンデルの法則の知識が品種改良・新品種作成に必要です。メンデルの法則の知識がないと「ヒレナガのメダカが作れない!」「光体型の個体1匹もいないんだけど…」という事態になることも。
メダカの形質は多数ありますが、代表的なものは以下の通りです。
| 顕性遺伝 | 普通体系・リアルロングフィン |
| 潜性遺伝 | ヒレナガ・スワロー・風雅・光体型・ワイドフィン |
| 不明 | 眼の変化(アースアイなど17%程度でF1から出ると情報あり?)透明鱗・ロングフィン |
大雑把に覚えるなら
- 顕性遺伝:異種交配1代目(F1)で出現する可能性あり
- 潜性遺伝:異種交配2代目(F2)以降で出現する可能性あり
と覚えておくとよいでしょう。
多数の容器
品種改良・新品種作成をおこなうとタイプ別に分けることもあるので、容器がものすごい勢いで増えていきます。実体験ですが、1つの異種交配ペアから4タイプに分けたので容器が12個増えました。「タイプごとに分けたけど好みの表現じゃないからやめるか」ということで、いくつかはMIX水槽に移動してもらいましたが、それだけ容器が増える可能性があります。
そのため、あらかじめ「○○タイプ以外の品種改良は目指さない!」と決めた方が良いでしょう。
時間
メダカの品種改良・新品種作成はとにかく時間がかかります。1年中メダカを繁殖できる環境を整えたとしても1年で6世代(F6)あたりが限界です。1年に6世代回せても、表現が固まらなければさらに累代する必要があります。
そもそも、1年中メダカを累代できる愛好家さんは多くないので6世代も回すのは難しいでしょう。よくて3世代、下手すれば1世代といった所でしょう。そのため、新品種の作成には2・3年かかることも頭に置いておく必要があります。
「ぱぱっと新品種作って儲けるぜ」みたいな方はすぐに挫折すると考えてよいでしょう。
観察眼

観察眼を鍛えておくとメダカの品種改良・新品種作成に便利です。細かい変化や表現を見落とさなければ、有利に品種改良を進めれるでしょう。1日2日で鍛えれるものではありません。そのため、沢山のメダカを見て観察眼を鍛えていきましょう。
完成形のイメージ

完成形を最初にイメージしておくのがおすすめです。完成形のイメージすることで、どのような方向性で累代すればいいのか明確になりますよ。逆に「とりあえずF2見て決めよう」みたいな感じでおこなうとあっという間に容器が増えていきます。(経験済み)
飼育場に余裕がない人こそ完成形をイメージするのが重要といえるでしょう。
妥協しない心
最後に必要なのは妥協しない心です。「ふざけてんのか?」と思う方もいるでしょうが真面目に答えてます。例えば、累代が浅くて固定率も1割程度なのに「これでいっか!」とヤフオクに出品したとします。お客さんが落札し累代した時に表現がバラバラのメダカが生まれてきたらどう思いますか?私なら「もう2度と○○からは購入しないわ」となるでしょう。
また、累代する際に「表現が甘いけど親に使うか」と妥協すると次世代で生まれてくる子はさらにバラけます(経験済み)
そのため、妥協しない心はある意味1番重要だといえますね。
実際のメダカの新品種の作り方
では、実際にメダカの新品種の作り方を解説していきます。私が今季から異種交配をしているメダカを実際にお見せしながら解説していきますね。
具体的な品種改良・新品種の作り方の手順は以下の通りです。
- 完成形のイメージする
- 素材を用意する
- F1を取る
- 選別してF2を取る
- 選別してF3を取る
- 表現が固まるまで累代を繰り返す
- 名前を付ける(任意)
順番に詳しく解説しますね。
完成形をイメージする
最初に新品種の完成形をイメージします。現在私がおこなっている異種交配の完成形のイメージは次の通り。
- 光体型の超密度ラメの安定化・早期表現の実現
- 秘密
2品種異種交配をおこなっていますが、2品種目は秘密とさせてください。かなり力を入れているので、完成するまで秘密にしておきたいです。
私の場合体色にこだわっていないので、大雑把な完成像ですが、絞れば絞るほど親選びが楽になるでしょう。
素材(親メダカ)を用意する
完成形をイメージできたら、素材に使う親メダカを用意します。親メダカは自分の飼育所で累代しているメダカでもヤフオクやショップなどで購入しても大丈夫です。大事なのは、どんな親メダカを使うかです。
例えば「ヒレがフサフサでラメラメなメダカを作りたい!」とします。この場合、すでに『ミッドナイトフリルのラメタイプ』というメダカがいるので『ミッドナイトフリルのラメタイプ』ロングフィンとラメの遺伝子は確保できます。片方の親は『ヒミツヘイキ・ネプチューン』あたりとしましょう。多色ならヒミツヘイキ、青系にしたいならネプチューンかな、という印象です。
光体型の高密度ラメ&固定率の向上を目指すのに使ってる親メダカ↓

下にいるのが光体型のメスです。ラメノリ&密度共に抜群なんですが、如何せんその子孫のラメが微妙。そのため、今回新しく掛け合わせることに。上にいる個体はヒミツヘイキのオスです。下のメダカは秘密にしておきます。
秘密の掛け合わせはこちら↓

黒すぎて見にくいですが、しっかり1ペアいます。どちらも品種名は言えませんが、体外光を持っているのがオスで私のオリジナルです。メスは流通している品種になります。(流通量はかなり少ないです)
F1を取る
親メダカを入手したら累代していきましょう。F1は全員同じ遺伝子を持っているとされているので、大量に採卵させなくても大丈夫です。個人的に1週間も採卵すれば数は問題ありません。上手に育てて採卵できるサイズまで成長させましょう。
選別してF2を取る
F1を選別してF2を採卵します。F1はすべて同じ遺伝子を持っているといわれていますが、リアルロングフィンなどF1で出るはずなのに表現が出ない個体もいます。仮にリアルロングフィンの品種改良・新品種作成がおこないたいなら、リアルロングフィンの表現が出ている個体を使いましょう。
F2個体は非常にばらけるので、大量に採卵する必要があります。自身のイメージに近い個体が出るまで採卵をおこない納得いく個体を作り出すのが重要です。
また、大量の選別漏れが生まれるので、選別漏れのメダカをどうするのかをしっかりと考えて置きましょう。
選別してF3を取る

F2個体を選別してF3個体を取ります。ポイントは妥協せず、完成形をイメージ通りの個体or理想に限りなく近い個体を選んでF3を取りましょう。妥協したくなったり「試しにこの表現のF2と合わせてみようかな」とやるとF3で表現がブレて遠回りになります。私にも経験済みなので、妥協せず理想に近い個体のみでF3を採取しましょう。
表現が固まるまで累代を繰り返す
表現が固まるまで累代を繰り返しましょう。メダカは累代を繰り返すことで、固定率が増し綺麗になっていきます。少なくとも固定率が3割程度になるまでは累代を繰り返しましょう。固定率を上げるための累代は時間がかかるので、気長におこないましょう。もちろん、妥協せず選別して累代してくださいね。
場合によってはさらに異種交配をおこなう
場合によってはさらに異種交配をおこないます。例えば上の例であげた『ミッドナイトフリルのラメタイプ×ネプチューン』を異種交配した結果「ラメはいいけどヒレがフサフサ具合がなっとくいかない」という場合は他のヒレフサ系メダカを掛け合わせることも検討できます。
その分完成は遠くなりますが、場合よってはよりよい品種が出来上がることもあるでしょう。
名前を付ける(任意)
最後に完成したメダカに名前をつけましょう。名前を付けるのは任意ですが販売する場合や掛け合わせが複雑で『○○×○○×○○×○○』長くなる場合は名前があったほうが便利ですよ。
メダカの品種改良・新品種作成についてよくある質問と回答
最後にメダカの品種改良・新品種作成についてよくある質問よ回答を紹介します。
以下が紹介する質問と回答になります。
- どれぐらい累代すればいいですの?
- ハウスネームは被っても大丈夫ですか?
- ハウスネームは何でもいいですか?
- 新品種作成までどれぐらい時間がかかりますか?
上記の4つについて解説します。
どれぐらい累代すればいいの?
最低でも固定率が3割程度にはなるまで累代しましょう。そのため「何世代累代すればいいの?」という質問は本来あり得ません。答えとしては「固定できるまで累代」が答えとなるでしょう。
ハウスネームは被っても大丈夫ですか?
被りはNGとされています。そのため、名前を付ける前にGooleなどで被りが無いか事前に調べましょう。
ハウスネームは何でもいいですか?
ハウスネームは被り以外自由につけて大丈夫です。ただ、譲渡や販売する場合は恥ずかしい名前にしない方が無難でしょう。
新品種作成までどれぐらい時間がかかりますか?
1年で累代できる数で上下します。1年で6世代回せる方は早ければ1年で新品種作成が可能なこともあるでしょう。逆に1年で2世代3世代の場合は2年3年必要になるケースもあります。
どちらにしてもメダカ次第なので、気長にやるのがおすすめです。
まとめ
本記事ではメダカの品種改良・新品種作成について解説しました。メダカの品種改良・新品種作成はメダカ愛好家でも簡単におこなえましたね。ただ、飼育環境によっては新品種完成まで2、3年かかることも多いので、気長に累代するのがおすすめです。
本記事のポイントは以下の通りです。
- メダカの品種改良・新品種作成は愛好家でも可能
- 累代は表現が固まるまでおこなう
- 販売や譲渡の可能性があるならハウスネームは被らないようにする
- メダカの品種改良・新品種作成は数年必要な場合もある
メダカの品種改良・新品種作成は愛好家でも簡単にできます。時間はかかりますが、自分好みのメダカを作れた時の喜び格別です!
私も品種改良を楽しんでいるので皆さんもぜひ、メダカの品種改良・新品種作成にチャレンジしてみてくださいね。